Hebidas ヘビダス  ヘビの病気マニュアル

P31 環境不適応

 1980年にコーワンが提唱した環境不適応症候群は、飼育上のストレスが関与しているペットの病的な状態と定義することができるだろう。この症候群の一例として、ガラガラヘビ属Crotalusに属する多くの種がはじめてケージに入れられた時に見せる膵臓機能の低下が挙げられる。しかし、病気が発症する前、あるいは病気の発症と平行して、おかしな行動の兆候が見られる。たとえば、ケージ内を常に動き回る、鼻にすり傷ができる、餌を食べないなどであり、やがては体が衰弱し、遂に病気や死に至る。
 大切なのは、医学的・心理学的な問題の大部分 (約90%)が、環境の問題と直接・間接的に関わっていると認識することである。環境不適応症候群は、その動物がやって来た生息環境と同じような環境を作り出すことによって、予防することができる場合もある。拒食症のヘビの場合、その生息環境を徹底的に調査して、できるかぎりそれに近づけるようにすることが非常に重要になってくる。まず飼育環境を改善しないかぎり、動物の命を救う奇跡の治療法などはありえない。たいていの場合、強制給餌は一時しのぎの手段にすぎず、最初に環境を改善しておけば不必要になることも多い。マルチビタミン注射をすると、あるいは体重1キログラムに対して40ミリグラムのメトロニダゾールを経口投与すると、ヘビが刺激されて餌を食べるようになる場合がある。

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