Hebidas ヘビダス  ヘビの病気マニュアル

P33 やけど

 悲しいことに、熱傷というのは、ペットのヘビにおける一番よくある問題の一つである。多くの場合、飼い主が常識を働かせて、定期的にヘビを観察していれば、こうした怪我は防ぐことができる。治療することは可能だが、時間が長くかかり、費用もかかるので、飼い主にとってもヘビにとってもつらい経験となる。しかも、治療しても、傷が残ってしまうこともよくある。この章では、やけどの治療法についても説明するが、主にやけどの防止法について説明していこう。[皮膚炎の項目も参照すること]
 以下に記す簡単なルールを守っていれば、やけどを予防することができる。
 1 どんな暖房器具 (暖房パッド、暖房テープ、電灯でさえ)も、ケージの内部に置かないように。あるいは、ヘビが直接触れることができるような場所には置かないこと。「ホットロック」は多くのやけどを作り出す原因となっているので、お薦めしない。ヘビは高温の物体には近づかないだろうなどと思い込んではならない。このルールを守っていれば、ヘビが水皿の水をこぼしても、あやまって感電してしまうことを予防できる。
 2 ケージの床面あるいは天井の全範囲を温めてはいけない。ケージの一部分だけを温めるようにすれば、ヘビが必要に応じて涼しい場所に移動して、体温を調節することができる。
 3 ヘビのケージを直射日光の当たる場所に置かない。特にガラス製のケージは注意する。
 4 ケージの通気性をよく確認すること。通気性をよくしておけば、温度が上がっても、ケージの外へ逃げていくので、ヘビを過熱から守ることにつながる。
 5 温度計を使用すること。
 6 暖房器具で温められたエリアを定期的に触ってチェックすること。
 やけどの治療は、予防よりもはるかに難しい。やけど治療の第一歩は、原因を取り除くことである。しかし、だからと言って、ヘビの熱源を取り除いてはならない。そうすると、ヘビが熱を一番必要としている時に、ヘビの免疫反応を危うくすることにもなりかねないからだ。治療方法の一環として、ヘビにやさしい安全な熱源を使用するように。その後、局所用抗生物質 (たとえばPolysporin軟膏、Silvadeneクリーム1%、あるいはBetadineのようなポビドンヨード軟膏)を、数週間から一ヶ月の間、毎日、患部に塗布しなければならない。多くの場合、軟膏を塗る前には、ヘビをポビドンヨード溶液に30分ほど浸けることをお薦めする。
 ひどいやけどの場合 (たいていそうなのだが)、抗生物質の注射をすると、ヘビの回復に役立つ場合がある。獣医の診察を受けた場合、どの抗生物質を使うのが一番効果的か決めるために、炎症した皮膚を培養したほうがいいと言われることもあるだろう。やけどの程度にもよるが、完治までには、抗生物質の注射で2〜4週間、前述した局所用抗生物質で4〜8週間ほどかかるだろう。
 やけどはゆっくりと治っていく。広範囲のやけどが治るためには、何回か脱皮をする必要がある。やけどを負ったことで、表皮が完全にむけて、その下の敏感な肌がむき出しになることもある。しかし、何回か脱皮を繰りかえすうちに、こうした部分は少しずつ小さくなり、やがては完全に治るだろう。やけどしたヘビの場合、傷が残るのはよくあることであり、その事故を思い出す傷跡として長く残るだろう。[皮膚炎の項目も参照すること]

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