Hebidas ヘビダス  ヘビの病気マニュアル

P47 脱皮不全

 たいていのペットのヘビは1〜3ヶ月に一度の割合で皮がむける。その前兆として、皮膚や目が青みを帯びてくるが、実際に皮がむける直前には、元の色に戻っている部分もある。きちんと世話された健康なヘビの場合、むけた皮は通常1枚につながっている。正常に皮がむけることを脱皮と呼び、皮が何ヶ所も破れている状態を脱皮不全と呼ぶ。脱皮不全の原因は寄生虫、栄養失調、感染、代謝異常、腫瘍、そして、 (大抵の場合)飼育環境の悪さが挙げられる。飼育環境の悪さとは、湿度が低すぎる、床材が水分を吸収しすぎる、体をこすりつけるのに適したザラザラの面がどこにもない、などである。言い換えると、脱皮時における問題のほとんどは、環境を改善すれば避けられるものである。
 ヘビが今すぐ脱皮の手助けを必要としている場合は、ヘビを温かくて濡れた枕カバーのなかに30分〜1時間くらい置いておく。チャックを閉めるのを忘れないように。また、枕カバーが水没してしまう危険があるような場所に置かないように。それから、枕カバーが落下したり、踏んづけられるような場所に置かないこと! 30分〜1時間後、ヘビを取り出し、脱皮の準備ができているようなら、全ての古い皮 (目の保護膜を含む)の脱皮を手伝うことができる。目の保護膜が皮膚から剥がれ落ちない場合、その時だけは濡れた綿棒を使って保護膜を取り除かなければならない。綿棒を使って円を描くようにやさしく15分ほどマッサージすること。15分たってもうまくいかない場合、作業を中断し、2〜3日後にもう一度同じことを繰り返すとよい。もしくは、作業中断後、爬虫類専門の獣医の診察を受けること。もし脱皮の準備ができていないのに保護膜を無理矢理はがした場合、角膜が露出してしまい、ヘビが失明する可能性がある。
 ヘビの脱皮をサポートするための商品が売られているが、これらはただの高級ソープ剤にすぎない。だからと言って、全く役に立たないわけではない。実際、古い皮に水が入りやすくなるので、無駄ではない。しかし、アイヴォリーやダヴのような刺激の少ない食器用洗剤を使用しても同じ効果は得られる。また、過酸化水素1に水3〜4を加えた混合溶液を使っても、ヘビの脱皮がしやすくなることが知られている。

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