Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P183  糞尿

 ヘビの排便については、この本のどこで語っても同じようなものなので、ここで書いておくことにする。実は、健康なボールパイソンは三つの異なる物質を、普通は同時に排泄している。排便という言葉はこの三つの物質を排泄する行為として広く使われているので、この本のなかでも排便という言葉を使用することにするが、正確に言えば、排便とは糞を排泄することを指す。

 糞とは、食物が消化管を通って代謝された結果生成されたもののことである。糞とは“うんこ”であり、ヘビの糞は他の肉食動物の糞とさほど変わりはない。ボールパイソンの糞をくわしく調べてみると、茶色のかたまりのなかに、簡単に見分けられる二つの物体があることに気づく。それはネズミの毛とボールパイソンの歯である。もちろんネズミの毛は餌のものである。一方、歯については、ボールパイソンは定期的に歯が生え変わるのだが、古い歯はたいてい飲み込まれてしまうといった事情によるものである(これは他のヘビの場合にもあてはまる)。

 また、ボールパイソンは定期的に尿酸を排泄する。尿酸は白っぽい粘液として、二つの尿管を通って腎臓から排泄腔へと送り込まれる。排泄腔では、尿酸ペーストに含まれる水分の一部が体内に再吸収されるため、通常、尿酸が体外へと排泄される時には、白い粘液状のペースト、あるいは湿って壊れやすいチョーク状(すぐに乾燥して白いチョークに変化する)になっている。尿酸はヘビによって作られるたんぱく質を消化した結果生成された窒素化合物である。大ざっぱに言えば、尿酸とは尿素に相当するものである。尿は尿素を水で薄めたものであるが、尿酸は基本的に非水溶性である。

 ヘビは排便する時に水分も排出している。厳密に言えば、この水分は尿酸が尿管を通る際の運搬役を引き受けているので、尿と呼んだほうがよい。たとえばビルマパイソンなどは大量の水分を排出するのだが、ボールパイソンは一般的に言ってあまり水分を排出しない。野生のボールパイソンは乾季のある自然環境のなかで生きているので、乾燥状態にはうまく適応することができ、体内に水分をためておくことができる。

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