Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P146  室温

 我々はまるでサウナのようなヘビ飼育室に入ったことが何度もある。そういう部屋で飼育したほうがいい種類のヘビもいるが、そういうヘビは多くないし、ボールパイソンはそのなかには含まれていない。

 20〜30年前には、非常に暑い場所でヘビを飼育するのが理想的だと考えられていた。しかし、当時はヘビの繁殖数も少なかった(そして、飼い主の顔色は悪く、強力な制汗剤を必要としていた)。ヘビは温かい空間を必要としているという事実に対して過剰に反応した結果、ヘビ飼育室自体を高温多湿に保とうとしたのだ。当時は、個々のケージに日光浴用のスポットを作るといったことは、一般的なことではなかった。現在では、多くの飼い主が簡単で最新式のケージ暖房システムを導入しているが、室温を下げることを忘れているのだ。

 我々は一年のほとんどの期間、ボールパイソンの飼育室の温度を、日中は27〜28℃、夜間は25.5℃に保っている。この温度変化は普通のことで、一日の気温変化にともなって建物自体が温かくなったり冷たくなったりすることによってできるものである。晩秋から早春にかけては、寒気がやって来た時などに、夜間の最低気温が数度下がることがあるが、サーモスタットの設定温度を下げることはない。冬は全般的に温度が低くなるが、これはサーモスタットの温度を低く設定しているからではなく、夜の時間が長くなるにしたがって、飼育室の冷え込む時間帯が長くなるせいである。こうした場合には、それぞれのケージのなかに日光浴用の温かい場所を作って、熱を補うこともある。しかし、ほとんどの場合、ケージ内の補助熱の電源はオフにしてある。

 飼育室のなかでは、一日24時間、首ふり扇風機が作動している。扇風機を使うことによって、飼育室の温度が階層化されるのを防いでいる。つまり、扇風機を使うことによって空気が攪拌され、部屋の天井部分が床部分よりも温かくなることを防ぎ、室温が均等になるということである。

 我々は自分たちのボールパイソン飼育室の設定温度が一番いいと思っているが、ボールパイソンの飼育に適した温度域はかなり広いものである。ボールパイソンはかなり寒い部屋(18℃)でも十分やっていけるし、ケージのなかに適切な日光浴用の場所さえあれば、もっと寒い場所でも生きていける。このことに関しては、第12章の温度の項目で、くわしく説明している。

 ボールパイソンが日光浴用の補助熱なしに長く生き続けられるような、昼夜変化や季節変化もない一定の温度を選べと言われたら、我々は28〜29℃の温度域を選ぶだろう。もし29〜30℃の日光浴用の場所があれば、周辺温度が24.5〜25.5℃の環境でも、ボールパイソンは元気に生きていけるだろう。

 

P146  湿度

 ボールパイソンが適度な温度域のなかで幸福に生きていけるのと同じように、生存に適した湿度域もかなり広い。我々はヘビ飼育室の湿度を40〜60%に保っているが、これはほとんどの一般家庭の室内における標準的な範囲である。もちろん、ケージの内部は室内よりもほぼ必ず湿度が高いのだが。

 ボールパイソンにとって湿度が高すぎる部屋というのは、想像するのが難しい。ボールパイソンは特に高い湿度を必要としないが、湿度が高い環境でも平気で生きていける。しかし、部屋の湿度が高すぎると、部屋自体がカビや木の腐食などで傷んでくるということを念頭に置いておかなければならない。特に、じゅうたんを敷いた予備の寝室をヘビ飼育室として使っている場合は、まずいことになるだろう。

 時には、普通の部屋でも、加湿器を使って湿度を高めなければならない場合もある。もしあなたがアメリカ西部の州に住んでいるなら、夏になると、湿度が20%以下にまで急低下する時がある。もしあなたが水冷式のクーラー(そうした地域では広く使用されている)を使って飼育室の温度を下げているとしたら、室内の湿度は高いまま保てるだろう。もしあなたがエアコンを使って飼育室の温度を下げているとしたら、加湿器を使う必要があるかもしれない。同様に、北部地域の冬においては、外の気温は低下して空気中の水分を凍らせ、室内の空気は数ヶ月連続で温められることになるので、室内の湿度は非常に低くなる可能性がある。そうした場合には、ヘビ飼育室で加湿器を使うといいだろう。

 もっと湿気が必要かどうかは、ヘビ自身が教えてくれる。湿度が低すぎると、脱皮の際にトラブルをおこすからだ。この本の別章でも書いているが、脱皮不良の問題を解決するのは難しいことではない。しかし、これは湿度を増加させてヘビの飼育環境を改善しなさいという目安でもあるのだ。もしヘビが簡単かつ完全に脱皮をしたならば、湿度計の数値がどうであろうと、湿度は問題ないということである。

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