Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P162  隠れ箱・シェルター

 ボールパイソンに確固とした安心感を与える一つの方法は、隠れ箱を設置することである。隠れ箱とはケージのなかの小さな家のようなもので、ヘビが好きな時に休むことができる場所のことである。自然界においては、ボールパイソンはほとんどの時間を地下の巣穴のなかで過ごしている。ほとんどのヘビと同じように、ボールパイソンも接触屈性の傾向がある。接触屈性とは閉所恐怖症の反対のようなものである。ケージのなかの隠れ箱としては、厚紙でできた空き箱から素焼きの植木鉢まで、さまざまな素材のものを使用することができる。

 ボールパイソンのなかには、隠れ場所を必要としていないものもいる。そういうヘビは見通しのいい場所に横たわり、まわりの注目を集めても平然としている。隠れ箱があっても使わないヘビがいる一方、隠れ箱やシェルターによってプライバシーが与えられないと、ストレス・不安・不幸などが原因となって元気を失って死んでしまうヘビもいる。通常、ヘビの不安感情は拒食という形となってあらわれる。もしあなたのヘビが餌を食べなかったり、しょっちゅう動き回っているか、頭を隠してとぐろを巻いたままほとんど動かないようなら、そのヘビに何らかの安心できる空間を与えてやる必要がある。

 実際のところ、ほとんどのボールパイソンは空き箱のなかで十分満足している。しかし、多くの飼い主は美しいケージのなかに「Wheaties」や「Cheerios」(注:アメリカで販売されているコーンフレークの商品名)の空き箱があるという考えに耐えられないらしい。美意識の問題はさておき、優れた隠れ箱であるための条件の一つは、洗えるもしくは使い捨てにできるということである。なぜなら、ヘビはしばしば隠れ箱のなかで糞をするからである。もう一つ考慮すべき点は、隠れ箱のサイズである。もし隠れ箱が小さすぎると、ヘビにとっては窮屈になる(あるいは、全く入れない)し、逆に大きすぎても、なかにいるヘビが安心感を得られなくなってしまう。ボールパイソンが隠れ箱のなかで休んでいる時には、内部の側面あるいは天井に体が接触できるくらいが望ましい。なかでも一番重要なのは、隠れ箱の入り口が十分な大きさを持っていて、ヘビが安全にくぐれるようになっていることである。

 ヘビの視点から言うと、隠れ箱は頑丈なもの、つまりある程度の重さがあるほうが望ましい。ヘビは隠れ箱にもたれかかったり、その上でとぐろを巻いたりするのが好きである。ケージのなかに軽い隠れ箱しかない場合には、ヘビもそれを利用するが、軽くて壊れやすい隠れ箱よりは、どっしりとした隠れ箱を好む傾向がある。

 植木鉢の下に敷く素焼きの皿を改造した隠れ箱を目にすることがある。素焼きの皿は簡単に手に入り、安価で、さまざまな直径と深さのものが売られている。皿の側面の一部を削り落としてヘビの出入り口を作り、それを逆さまに置けば、ボールパイソンが好きな天井の低い空間を作り出すことができる。植木鉢そのものも小さな家として使うことができるが、底にある排水用の穴は危険である。餌を食べた後のヘビが、頭は穴をくぐれても、体のほうがくぐれないといったことがおきる可能性があるからである。

 素焼きの容器に穴を開けようとすると、容器が割れて粉々になってしまう場合がある。しかし、ペンチを使うと、低温で焼かれた素焼きの皿や鉢の縁の部分を“かじり取って”、ちょうどいい入り口を作ることができる。

 台所で使用するプラスチック製の保存容器も、便利な隠れ箱として使用することができる。素焼きの鉢と同様に、容器の側面や上面に作る入り口の穴は、ヘビの胴体の直径よりもはるかに大きめに作ることが重要である。穴が小さいと事故を招いてしまうので、そうした穴はヘビの胴体の直径の3倍が入るくらいの大きさに作っておくことをお薦めする。そうした事故はめったにおこらないが、もし穴が小さいと、ボールパイソンが穴に潜りこんで、方向転換して外に出ようとした時に、自分の胴体が穴にはさまってしまって、致命的な事態をひきおこす場合がある。

 ボールパイソンに安心感を与える備品は、箱である必要はない。ケージ内の目に見える場所で、二つのブロック(や岩)の間に身をもぐりこませて、幸せそうにしているボールパイソンもいるし、ケージの対角線上に立てかけた木の枝の根元で、とぐろを巻いて安心しているボールパイソンもいる。

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