Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P219  餌やりのスケジュール

 我々はボールパイソンのオスの成体に対しては、夏の断食期間を除いて、1週間にラット1匹の割合で与えている。繁殖期にあるオスのほとんどは、これ以外の期間にも餌を食べなくなることがある。たった1回だけ餌を食べない時もあれば、冬の間ずっと餌を食べない時もある。我々はオスに対しては定期的に餌を与えるようにしている。その体重に注意して、太りそうな時にはなるべく太らせないようにしている(肥満していても特に問題があるわけではないのだが)。

 餌やりのスケジュールに関して一番考慮しなければならないのは、メスの成体の場合である。成体のメスが餌を食べなくなる期間は二種類ある。我々は生殖期間中のメスに対しては餌を与えないようにしている。それは排卵の数週間前〜産卵後脱皮(卵を産んだ後で脱皮する)までの期間で、約90〜100日間である。また、夏の断食期間にも餌を与えていない。これは我々が住んでいるテキサス地方ではもっとも暑い時節と一致しており、7月1日〜9月中旬の約75〜80日間である。

 第一の断食期間は自発的なものであり、ほとんどのメスは生殖期間の後半には餌を食べなくなるものである。メスが餌を食べたそうにしていても(なかには大食漢のメスもいる)、大きな卵胞や卵でお腹が膨らんでいる時に、うまく餌を処理できると思わないほうがいい。ほとんどのメスは排卵前の脱皮をした直後に1〜2回の餌を食べた後、餌を食べなくなる。我々はその時点で、メスがまだ餌を食べたそうにしていても、餌を与えるのをやめることにしている。

 第二の断食期間は、我々が作り出したものである。我々が当初考えていたのは、一年で一番暑い時期に餌を与えるのをやめれば、停電・電力の一時停止・電力機器の異常によって空調システムが停止して高温状態になってしまった場合でも、それが原因で発生したリスクを最小限に抑えることができるのではないかということだった。体内で餌を消化しているボールパイソンよりも、空腹のボールパイソンのほうが、急激な温度変化に耐えられるからだ。

 実際には、そうした緊急事態は今まで一度も発生したことはない。しかし、こうしたことを続けているうちに、この断食期間がボールパイソン(及び他のパイソン種やボア種)の生殖サイクルにプラスの影響を与えていることに気がつきはじめた。我々が7月に餌を与えるのをやめると、ヘビたちは最初の数週間は、とても腹をすかせている様子を見せるが、やがて落ち着くようになる。それは実際に体の代謝率を下げて、エネルギー消費量を抑えているのだと思われる。ヘビにとっては夏眠に相当するのだろう。我々が餌やりを再開すると、メスの多くは卵黄形成を始めるようになる。次に脱皮をする頃には、卵母細胞が小さくなり、卵胞が成長している。

 メスの二つの断食期間を合わせると、ボールパイソンのメスの成体が餌を食べていない期間は、1年間で合計165〜180日にも及ぶことになる。さらに、脱皮期間にも餌を食べず、メスは1年間に約10回の脱皮をする。1回の脱皮につき5日間餌を食べないとすると、断食日数はさらに50日追加されることになる。つまり、我々が飼育しているメスの成体は、1年間に約100〜150日の期間しか餌を食べていないことになる。その間、5日ごとにラット1匹の割合で与えるとすると、1年間の平均餌数は20〜30匹になる。これは、繁殖するメスにとって理想的(だと我々が考えている)体重を維持するには十分な数である。

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