Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P219  繁殖用の温度

 我々は、ボールパイソンをうまく飼育・繁殖させるためには、温度設定の幅をかなり小さくしたほうがよいと考えている。もちろん、我々の飼育条件をそのまま読者の飼育環境にあてはめても、うまくいくとは限らないが、一つの指針にはなるだろう。実際のところ、我々は2つの異なる環境で、ボールパイソンを飼育している。

 我々が飼育している成体のボールパイソンのほとんどは、大きなビルのなかで管理されている。そこには高性能の室温調節システムがあり、室温をかなりコントロールすることができる。冬季には、暖房だけを使用している。サーモスタット(温度自動調節装置)は25.5℃に設定してあり、室温が25℃以下になると暖房が作動するようになっている。夏季には、空調だけを使用している。サーモスタットは26.6℃に設定してあり、室温が27.2℃以上になると空調が作動するようになっている。

 夏季の室温は、かなり一定に保たれている。冬季には、空気調節システムのおかげで低温になることは防げるが、我々の住んでいるテキサス州では冬に晴天が続いて暖かくなる場合があり、そうした場合にはビル自体の温度が上昇してしまうのを防ぐことはできなくなる。そのため、冬季には、ビル内部の周辺温度が30℃以上にまで上がってしまうことが時々ある。

 我々が日光浴用のスポットやその他の補助熱源を与えるのは、妊娠したメスのボールパイソンだけである。それも、排卵前から産卵までの数週間の間だけである。我々が使用しているのはFlexwatt社製のヒートテープで、床材を温めるタイプの商品である。7.6×41cmのヒートテープを、メスが入っているケージの背面に張りつけている。ヒートテープはレオスタット(加減抵抗器)で制御されており、温められた場所が31℃になるように調節されている。最初の頃(排卵前の脱皮をしてから1〜2週間後まで)は、夜間(午後6時〜午前6時)だけヒートテープの電源を入れておく。夜に温かい場所があるので、臆病な性格のメスでも日光浴をしようという気になるだろう。産卵前の脱皮から産卵にかけての間は、卵が産まれるまでずっとヒートテープの電源を入れっぱなしにしておく。産卵後には、ヒートテープの電源を切る。

 このビルのなかにいるボールパイソンは、1年中繁殖している。とは言え、このビルのなかにいるメスや、これよりも低い温度設定で飼育されているメスの生殖サイクルが始まるのは、四季のなかで秋が一番多い。

 もう一つのビルのなかには、30匹ほどのメスの成体のボールパイソンが、異なる温度条件で飼育されている。このビルは、最初のビルに比べて、夏はより暑く、冬はより寒くなる。夏季のほとんどは、夜間の最低温度が26.5〜27.8℃であり、日中の最高温度が29.5〜31.6℃になる。

 冬季には、このビルの暖房温度を25.5℃に設定している。冬季には空調を使わず、冬の晴天が続いた時には、温度が29.5〜31.6℃にまで上昇することもある。冬の嵐が到来した時には、暖房機能が追いつかず、寒い天気が続く間は、室温が19〜20℃にまで低下する場合もある。

 二番目のビルにいるヘビは、1年を通じてさまざまな時期に繁殖をおこなう。しかし、このメスたちの大部分は、春に生殖サイクルが始まり、1年で一番暑い時期までそのサイクルが続く。

 メスが1年中いつでも日光浴用の補助熱源を利用できる飼育環境にあるなら(多くの飼い主やブリーダーがそうしていると思うが)、排卵前の脱皮〜産卵前の脱皮の間は、ヒーターの電源を1日12時間に制限しておくことをお薦めする。超音波による検診の結果、この時期にメスが常に温められた状態になっていると、卵胞の成長が止まり、結果的に卵胞が体内に吸収されたり、無精卵として体外に排出されてしまう場合もある。

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