Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P226  有精卵・無精卵

 卵をくわしく調べてみると、通常、有精卵の殻には、卵の長軸に沿って細い筋や溝が縦に走っているものである。普通、異常卵の殻はなめらかで、黄色っぽい色をしている。異常卵は排卵の時期が早すぎたためにできたものであり、たいていは有精卵の半分ほどの大きさである。無精卵の殻はいびつな形をしている場合もあるが、表面的には有精卵と区別がつかないことがある。

 有精卵も殻がいびつな形をしている場合がある。卵のなかには“窓”がついているものもある。“窓”とは、しっかりした白い殻が内部の膜を覆うようにきちんと形成されなかった部分のことである。時には、“窓”を通して、発達中の胎児の姿が確認できることもある。卵の殻に“星形”マークがついているものもある。これは殻の表面にある星形の隆起部分で、卵子が殻に包まれる際にこのような形になったものである。

 明かりに透かしてみれば、有精卵かどうかを簡単に識別することができる。我々はボールパイソンの卵が産まれたらすぐ(たいていメスから卵を取り上げた直後に)明かりに透かして確認している。我々は小型の懐中電灯(単3電池2本を使うペンライト)を使って、暗室のなかで、卵の殻にペンライトの光を軽く押し当てて、卵を照らすようにしている。産卵した当日に、ボールパイソンの有精卵の内部を透かしてみると、血管の網が浮き出ているのがわかる。抱卵が進行するにつれて、この状態はさらに複雑に発達していく。遅れて産まれてきた卵はくすんでいて、卵黄が少なく、大きな胎児が光をさえぎっている。

 ヘビの卵は鳥の卵のように、卵黄と卵白が分離されておらず、その二つが混ざりあっている。発達の初期段階においては、卵のなかは卵黄らしきものでほとんど満たされており、卵を切開してみても、透明な液体はほとんど見られない。抱卵が進行するにつれて、卵黄は胎児によって吸収されエネルギーに変換される。胎児が成長するにつれ、卵黄の量は減少し、卵殻内の透明な液体の量が増加する。通常、透明な液体は「羊水」と呼ばれているが、これは二つの物質から構成されている。一つは胎児が浸かっている実際の羊水であり、もう一つは尿嚢に詰まっている透明な液体(胎児の腎臓から排出されたもの)である。

 無精卵を明かりに透かしてみても、血管網やその他の発達を示す徴候は見られない。産卵直後に切開して調べてみると、無精卵にはバニラ風味のプリンと同じような外見と粘度を持った黄色い物質が詰まっている。異常卵のなかには一部に血管ができているものもあり、排卵時に受精していたことがわかる。抱卵の後期の段階になると、無精卵や異常卵の中身は硬い濃度の物質へと変化していく。

 抱卵段階の卵を切開してみると、生きた卵には赤い血管と透明な羊水が含まれている。死んだ卵の場合、血管は茶色か灰色で、羊水はにごっている。

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