Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P238  卵の管理

 孵卵させている間は、卵の様子をしっかり観察するように強くお薦めする。間違っても、卵を孵卵器に入れた後、孵化予定日をカレンダーに書き込んで、後はほったらかしにするといったことのないように。何も問題がおきないという可能性もあるが、もっとよくないのは、あなたが手をこまねいているうちに、問題が進行してクラッチが死滅してしまうような場合である。卵の管理とは、1週間に数回、孵卵箱を開けて、箱のなかの匂いをたっぷりと吸い込むということである。卵の匂いを嗅いでみるといい。クラッチで問題が始まったかどうか、あなたの鼻が教えてくれるだろう。卵の様子を見てみるといい。2週間に一度くらいは、卵を取り上げて、下の部分を見るのもいいだろう。そうすれば、一目見ただけではわからない場所にも、何も不都合がおきていないことを確認することができる。

クラッチの不育と壊死

 生きた卵は有機体の健康的な匂いがする。殻の色が変色することはめったになく、カビやその他の微生物が繁殖することもない。生きた卵から液体が漏れてくるのは、殻の傷・穴・内圧異常といった問題がある場合だけである。

 しかし、時には、同じクラッチのなかで、生きた卵と、無精卵あるいは異常卵がくっついていることがある。通常、こうした状態になると、無精卵や異常卵には色鮮やかなカビ類が繁殖するが、有精卵はそうしたカビと接触していた部分の色が変色するだけで済むものである。

 クラッチのなかに異常卵が混じっていても、その隣にある有精卵に影響を与えることは稀である。無精卵のほうが、隣り合った卵に対してより大きな危険をもたらすが、普通は、有精卵の孵化に悪影響を及ぼすことはない。

 クラッチのなかにカビの生えた卵が混じっているのを見つけた場合、我々は嗅覚をたよりにして、卵を分離する行動をおこすかどうか判断している。悪くなった卵はカビの強い匂いを発生させているが、それ自体は必ずしも悪いことではない。何か問題がおきている、あるいは、カビの生えた卵が生きた卵に影響を及ぼし始めていると感じる時があっても、我々はすぐに卵を分離するようなことはせず、確証が得られるまで待つことにしている。と言うのも、正しい方法で卵を分離した場合でも、そのことによって有精卵が修復不可能なダメージを負ってしまう可能性があるからだ。しかし、悪い卵が良い卵を危険にさらしているという疑いが少しでもあれば、ためらうことなくクラッチから悪い卵を取り除いている。

 時には、有精卵がクラッチのなかで死んでしまうこともある。こうした死は、孵卵環境に原因があったのかもしれないし、哺乳類において発生する自然流産の爬虫類版なのかもしれない。たとえ環境が完璧な状態だったとしても、有精卵の数%は発達段階の途中で死んでしまう。

 卵が死ぬと、まるで孵卵箱のなかで何かが腐っているような悪臭を発する。死んだ卵は変色し、液体が漏れ、しぼみ、(もしいれば)ハエを引き寄せ、灰色の粘液をたれ流す。しかし、こうした目に見える症状が出る数日前から、悪臭が発生している。さらに悪いことに、死んだ有精卵は隣り合った卵を汚染し、汚染された卵はそのまた隣の卵に被害を及ぼすことになる。もし何も手を打たないなら、クラッチの全てが死滅するのは時間の問題である。クラッチから死んだ卵を除去しなければならない。

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