Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P158  サイズ

 我々は、さまざまなサイズのケージにうまく適応して元気に生きているボールパイソンを何匹も見てきた。しかし、一般的に言って、小型のボールパイソンは小型のケージで飼うのがいいだろう。ボールパイソンの成長にともなって、ケージのサイズを大きくする必要がある。ケージのサイズを測る単位は、リットルや立方センチなどいろいろあるが、我々がもっとも重要視している要素は床面積である。

 我々は産まれたばかりのボールパイソンを、床面積が約250平方センチのケージに入れている。これは、ほとんどのプラスチック製の靴箱とだいたい同じサイズである。これよりもサイズが小さいと、赤ん坊を(長い間)入れておくには不十分かつ不適切ではないかと思う。一方、孵化したばかりの赤ん坊を広すぎるケージに入れると、赤ん坊は不安を感じて餌を食べなくなるかもしれない。こうした状況は隠れ箱やシェルターを設置することで解決できるが、そうした場合でも、内気な赤ん坊がシェルター内に閉じこもってしまえば、餌やりが難しくなってしまうだろう。赤ん坊の場合、ケージを開けた時に赤ん坊の姿が確認できるのが望ましく、赤ん坊をシェルターから引きずり出して物理的に邪魔をするのはよくない。

 ボールパイソンの赤ん坊がちゃんと餌を食べるようになったら、より大きいサイズの第二段階のケージに移してもよい。通常、我々が赤ん坊を大きなケージに移すのは、生後6ヵ月が経ってからである。その頃になると、ヘビがとぐろを巻くと、ケージの床面積の半分近くを占めるようになっている。早い段階で赤ん坊を大きなケージに移したほうが、飼育管理の手間隙がより少なくて済むのだが、小型のケージで飼育するにはそれなりの理由がある。赤ん坊が餌を消化すると、大量の代謝熱が発生して、それが小型のケージ内に溜まるのだ。さらに、小型のケージは、ヘビの呼吸や小さいボウル(240cc)から蒸発した水分を外に逃がすことがない。小型のケージ内にいる赤ん坊は、急速な成長をするのに最適な環境のなかで、完璧に温められている。ヘビがケージに鼻先をこすりつけたり、水の入ったボウルをいつもひっくり返すようになったら、それはヘビにとってケージが小さくなってきたことを示す兆候である。

 我々が飼育している亜成体のボールパイソンは、床面積が750〜1250平方センチのケージが一番いいようである。これは40リットルの水槽の床面積とほぼ同じである。我々は亜成体のヘビを、ラックに置くのにちょうどいいサイズの白い半透明の容器に入れて飼育している。このケージで1〜2年過ごし、ボールパイソンが性的に成熟してケージが狭くなってくると、次の段階のケージへと移すことにしている。

 年をとった成体のボールパイソンは、最低でも2500〜3750平方センチの床面積を必要としている。ほとんどの成体は、80リットルの水槽とほぼ同じサイズの空間で、かなり幸せに生きていくことができるだろう。

 亜成体及び成体のヘビはかなり大きいケージでも飼育することができるが、そのためには、新しいケージに入れた時にも餌を食べ続けていること、そして、飼い主がヘビの状態を簡単に観察できることが前提条件となる。

 

P158  ケージの高さ

 ケージの高さは、ヘビの飼育環境の温度と湿度に影響を与える要素である。我々は、成体のボールパイソンを飼育する際には、高さ20〜22.5cmのケージを使うことを好んでいる。これだけの高さがあれば、ケージのなかでボールパイソンに餌を与えることができる。ヘビがラットを締めつけている間も、ケージの蓋を閉めておくことができる。

 

P158  ケージの開口部

 ケージには、出し入れ口と通気孔がある。ケージへの出し入れがしやすいということは、ケージのなかでヘビを効率的に飼育する上で、最高に重要な要素だということを指摘しておきたい。ほとんどの場合、ケージの清潔度は、出し入れのしやすさと正比例の関係にある。ほとんどのケージは天板または前面が開くタイプで、それぞれに長所と短所がある。

 我々が強くお薦めするケージは、扉が簡単に開閉できて、閉めた時にかんぬき(あるいは鍵)がかかるタイプのものである。ケージのなかで何年も過ごすボールパイソンもいれば、同じような(時には全く同じ)ケージのなかにいるにもかかわらず、すぐに脱走してしまうボールパイソンもいる。ボールパイソンの行儀の良さをあてにするのではなく、最初から脱走ができないように確実な手段を講じるほうがよい。地域によっては、ヘビのケージに鍵をつけることが法律によって義務づけられているところもあるので、地元の保健所に連絡をとって、そうした条例がないかどうか確認するといいだろう。

 ボールパイソンは、通気性のいいケージにいるのが一番良い。ボールパイソンは他のパイソン種よりも幅広い湿度環境に耐えられるので、内部の空気が循環して、熱が分散できるくらいの大きな通気孔のあるケージを与えるのが望ましい。多くの場合、通気性に適した素材は、目の細かいステンレス製の金網である。ナイロン製の網戸は柔らかくていいのだが、裂けてしまう場合がある。また、使用条件によっては、何年も使っているうちに、強度がなくなってしまうこともある。そうなると、ヘビが力を加えた時に、穴が開いて破れてしまう。普通、金網ならば、ほとんどのボールパイソンの力に耐えることができるが、活動的で動き回るヘビの場合は、鼻先に擦り傷ができてしまう可能性もある。

 

P158  ケージの照明

 ボールパイソンは特殊な光を必要としないことがわかっている。暗いクローゼットのなかで何年も過ごしていたのに、完全な健康体だと思われるボールパイソンを見たことがある。ケージに照明をつける最大の目的は、飼い主がペットの姿を見て楽しむためである。場合によっては、照明が、ケージ内の温度をコントロールするための十分な方法になることもある。

 我々に馴染みのある照明器具は全て、熱を発している。ケージの準備やデザインをする際には、そうした事実も考慮しなければならない。たとえば、ハロゲン電球による光は、ヘビを見るためには素晴らしい白色光だが、ほとんどのハロゲン取付具は高熱を発するので、ヘビの飼育ケージのなかでは使用できない。蛍光灯の取付具はあまり熱をもたないし、バランスのとれた白色電球と合わせることもできる。実際、ほとんどの飼い主は、ヘビを見て楽しむには、普通の“クールホワイト”の蛍光灯が一番だと考えている。

 耐熱性の白熱電球取付具(たとえば近くの電器店で売っている安い磁器製のソケットなど)をケージの天井に取りつけて、熱を発する電球やセラミックヒーターなどを下に向けて設置することもできる。正しく設置すれば、光が当たるケージの床の部分が、日光浴用の温かい場所になるだろう。しかし、ケージの天井が高すぎて床を十分温められない時がある。そうした場合、ボールパイソンの飼い主はケージの壁に磁器製のソケットをつけて、横から白熱電球の光が差し込むようにしてしまうことがあるが、これは大きな過ちである。なぜなら、ボールパイソンが熱い電球の上に這いのぼったり、時にはその上で休んだりして、腹部にひどい火傷を負ってしまう可能性があるからである。

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