Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P197  肥満

 餌を食べ過ぎたボールパイソンは肥満体になる。他のパイソン種に比べると、ボールパイソンの肥満はそれほど多くない傾向にある。別項でも書いたが、ボールパイソンはたとえばブラッドパイソンやビルマパイソンやボアコンストリクターなどと比べて、新陳代謝のスピードが速く、また、ボールパイソンは時には数ヶ月もの間餌を食べなくなるといった性質も持っている。とは言え、餌を食べ過ぎてかなり太ってしまったボールパイソンを目にすることはある。

 正確な数値で示されたわけではないが、人間の実例を見てもわかるとおり、肥満と長寿とは反比例の相関関係にあるようだ。非常に太ったヘビは、同じ種類の細身のヘビほど長生きしない。1960〜1970年代に動物園(たとえばコロンビア動物園、バルチモア動物園、フィラデルフィア動物園)で観察されたヘビの長寿記録の多くは、細いヘビが作ったものだった。特にコロンビア動物園は現在でもヘビの長寿記録を数多く保持しているが、その園長であるルー・ピストイアはあまりヘビに餌を与えない人物として有名である。

 太ったボールパイソンをペットとして飼っているのは、太ったイヌやネコを飼っているようなものである。それは間違ったことだと誰に言えるだろうか? ヘビは幸福を感じているかもしれない。40年生きる代わりに、25年しか生きられないかもしれない。しかし、ヘビに言わせれば、それはとても幸せな25年間なのかもしれない。とは言え、太ったボールパイソンは繁殖には不向きである。特に繁殖期のメスにとっては、肥満はかなり悪い状態となる。

 飼い主の多くが、メスのボールパイソンは太っているほうがより多くの卵を産卵すると思っているが、それは誤解である。この誤解は(少なくともその一部は)、1990年にロス&マーザックが報告した『脂肪の周期』というレポートがもとになっているらしい。より大きなクラッチを産ませようとして、飼い主はメスのボールパイソンをできるだけ成長させようとしてあらゆる努力を試みる。たしかに、メスは繁殖できるようになるために十分に栄養を与えて余剰脂肪を蓄えておく必要があるが、太ったメスはほとんど必ず排卵の時期が早くなって無精卵を産んでしまうものである。太ったボールパイソンのメスは卵を産まないことも多い。

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