Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P192  死んだ齧歯類を与える方法

 ヘビの餌としての死んだネズミには、二つの種類がある。死んだばかりの新鮮なものと、解凍したものである。ほとんどのボールパイソンはどちらの餌も受けつけるが、個体によっては餌の好みもあるだろう。死んだばかりの餌しか食べないヘビもいれば、解凍した餌を好むヘビもいる。

 また、死んだネズミをボールパイソンに与える方法も、大きく分けて二種類ある。餌やり用の道具を使ってヘビにネズミを与える方法と、ケージの床にネズミを置いて、後でヘビが食べられるようにしておく方法である。

 我々は道具を使って餌を与えるほうが好きである。よく慣れて訓練されたヘビならば、ケージを開けて餌を与えた時に、ヘビがネズミを食べる様子をじっと見ていることもできる。ヘビに死んだネズミを与える際には、餌やり用の鉗子でネズミをつかんで、ヘビのほうに持っていく。ヘビの口のあたりにネズミを差しだすのだが、ヘビの口に直接触れるのではなく、ヘビの舌がチロチロと出し入れした時にネズミの体に触れるくらいの距離を保つ。ボールパイソンのなかには、温かい体温のあるネズミを好むものもいるが、ほとんどのボールパイソンはあまり気にしないようだ。

 時には、ヘビの鼻先にネズミを軽くぶつけて、攻撃反応を引き出す場合もある。しかしこれは、それぞれのヘビを見て、飼い主が個別に判断すべきことである。時には、軽くぶつけただけなのに、ヘビを怯えさせてしまうこともあるし、逆に、強い攻撃反応をすぐに引き出す場合もある。また、ヘビの首や胴体の側面にネズミを軽くぶつけると、ヘビの注意がうながされ、捕食者の思考モードに入らせることができる場合もある。

 ボールパイソンにネズミを与える時に絶対にしてはならないのは、ネズミの尻尾を指でつまんで、ヘビの目の前にぶら下げるというやり方である。こうすると、ボールパイソンが二つの物体のうち温かいほう、つまり、あなたの手に咬みついてしまう可能性が高い。ヘビはネズミを捕まえたと思って、あなたに絡みついてくるはずだ。こうした咬みつき事件は、飼い主にとって苦い思い出となることだろう。

 ボールパイソンは“餌の集配人”になることもできる。つまり、あなたが死んだネズミをケージに入れておけば、その後でヘビがネズミを見つけて食べてくれるという意味である。これはボールパイソンに餌を与える際のとても便利な方法である。自分の手で餌を与える方法に比べれば、人間とヘビの相互交流はないし、楽しくもないが、ヘビが死んだネズミを確実に食べてくれるのなら、大きな時間の節約になる。あなたの手から直接ネズミを食べてくれない内気なヘビでも、ケージのなかに置かれたネズミは喜んで食べることもある。

 ケージのなかに死んだネズミを入れる際には、ケージの前面部のよく見える場所に置くのがベストである。そうすれば、ヘビが餌を食べなくても、後で簡単に見つけられるからである。見つけにくいような場所にわざわざ置かないように。

 ボールパイソンのなかには、食事中は外界の出来事にとても敏感になるものもいるが、我々が飼育しているボールパイソンのほとんどは、ネズミを絞めつけている時には、周囲で何がおきていようと無頓着なものが多い。実際、我々はヘビにネズミを与える時、ヘビがネズミを捕まえて絞めつけはじめると、すぐにネズミの尻尾をつまみ、それを引っ張って、餌を絞めつけてとぐろを巻いたままのヘビを持ち上げて外に出す。我々はヘビを横に置き、急いでケージを清掃し、水の入ったカップを捨て、新鮮な水の入った新しいカップに置き換える。それから、まだ一生懸命になって餌を絞めつけているヘビをケージのなかに戻す。すると、ケージに戻ったヘビはようやく絞めつけるのをやめて、餌を飲み込みはじめる。我々が餌を与え、ケージを清掃し、水を交換するのは、1分とかからない。

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