Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

デザイナー変異体  ピンストライプ〜アイボリー

ピンストライプ、スパイダー

 デザイナー変異体の名称には、ピンストライプやスパイダーの名前が含まれていることが多い。この 2つのワイルド変異体は、多くのデザイナー変異体を作り出すのに使われている。その理由の一つは、 この2つが優性形質だからである。この2つを共優性形質と交配させると、第一世代でデザイナー変異体 が誕生する可能性がある。この2つの人気が高いもう一つの理由は、ピンストライプとスパイダーの系 統が、多くの成功をおさめた一流のボールパイソン・ブリーダーによって確立されたからである。

パート・モハーベ

 我々にとって、パート・モハーベはとても注目に値するボールパイソンである。両親はモハーベ/ヘ テロ・ゴーストである。それらを交配すると、スーパー・モハーベ(青目・リューシスティックで、側 面下部がわずかに黄色く、頭部に淡い模様がある)、ゴースト/スーパー・モハーベ(青目・リューシ スティックで、非常に白い)、パート・モハーベが誕生する。これは予想も説明もできないハプニング である。

 パート・モハーベの外見は青目・リューシスティックで、くすんだ青灰色の斑点がランダムに飛び散 り、そのなかに黄色のマーキングがある。同じ遺伝子型を持つ両親から誕生した別の2つのクラッチ( 卵)からも、それぞれにパート・モハーベが誕生した。

サーカス

 サーカスは変わった赤ん坊で、ヘテロ・クラウンのオスとノーマル風のメスとを交配してできた卵か ら産まれた。サーカスの外見はクラウン変異体のバリエーションのように見えるが、両親のことを考え ると、なぜこんなヘビが誕生したのか不明である。考えられるのは、ヘテロ接合が部分的に発現したも のではないかということだ。つまり、パラドックス・アルビノのクラウン版といった感じである。また 、サーカスの母親が未知の変異因子を持っていたということも考えられる。ノーマル風の外見を持った イエロー・ベリーだったのかもしれないし、あるいは、ほとんど外見に表れない未知の遺伝子型を持っ ていたのかもしれない。

スーパー・ファントム

 スーパー・ファントムはその名前が示す通りのものだが、素晴らしいボールパイソンなので、説明す る価値はあるだろう。これは新しい変異体であり、我々もまだ若い個体を1匹しか見たことがなく、そ のヘビの成長にともなう変化を書くことができない。幼体の頃は、今までに見たこともないほど奇妙な 色をしていた。6ヶ月の頃には、赤系の色が少し消えたものの、それでも奇妙な色のままだった。この 体色の原因が何であれ、スーパー・ファントムはもっとも奇妙な外見をしており、このヘビが成長して 成体になった時にはどんな姿になっているのか、今から楽しみである。

 現在、スーパー・ファントム/イエロー・ベリーという、非常に魅力的で興味ぶかいデザイナー変異 体もいる。これはスーパー・ファントムとよく似ているが、背中に小さな黄色の斑点がついている。

シルバーストリーク、シルバーブレット、ピューター、エイトボール

 シルバーストリーク、シルバーブレット、ピューター、エイトボールの4種は、ブラック・パステル もしくはシナモンの系統を使って作られたデザイナー変異体である。ブラック・パステルとシナモンは それぞれ異なる系統で、別々のブリーダーによって発見・繁殖されていた。一番最初にブラック・パス テルを発見したブリーダーは、ブラック・パステルのことを「ラビリンス」と呼んでいた。

 自然捕獲された2匹のラビリンスを交配させたところ、その卵からは、さらにラビリンスと新たなデ ザイナー変異体が誕生した。その新たなデザイナー変異体は黒いボールパイソンで、現在は「パターン レス・ブラック」とか「エイトボール」と呼ばれている。その卵から産まれたラビリンスを別の人間が 買い取り、名前を「ブラック・パステル」へと変更した。ラビリンスという名前はすでに別の変異体に つけられており、ほとんどのボールパイソンのブリーダーの間では、それが定着していたからだ。

 共優性形質のシナモンのヘビ同士を交配しても、黒いボールパイソンが誕生する。この黒い変異体は 「スーパー・シナモン」と呼ばれている。

 この2種類の黒いボールパイソンは、産まれた時から模様のない黒である。スーパーシナモンは新し く誕生したばかりである。まだ幼体しか存在していないので、今後この個体が成長するにつれ、どのよ うな変化をするかについては何も言うことができない。エイトボールは年とともに濃茶へと変化し、成 体になると茶と黄の小さな点がはっきりと表れるようになる。しかし、成体になっても、基本的に模様 はない。

 おもしろいことに、エイトボールのなかには、産まれた時から鼻先が広がっている、あるいは鼻先に こぶができているものがいる。見た目的には、あまり望ましくない形質だろう。シナモンの系統とブラ ック・パステルの系統を交配すると、エイトボールが誕生する。

 ピューター変異体はパステルとブラック・パステル、もしくはパステルとシナモンを交配させること によって誕生する。ピューターは色と陰影において、かなりの個体差がある。シナモンとブラック・パ ステルも、色と模様に関してはかなり個体差があるし、パステルと認められたヘビの外見もかなり幅広 い。だから、その両者を組み合わせて誕生したピューターの個体差が大きくても、驚くには値しないだ ろう。

 シルバーストリークはほとんどリューシスティックのヘビで、かすかに灰色の模様を持った銀白色を している。これはパステルとピューターをかけ合わせて作られたものである。だから、シルバーストリ ークは「スーパー・パステル/ブラック・パステル」もしくは「パステル/ピューター」と表記すること もできる(…まったくもって、デザイナー変異体の命名に関しては、きちんとした法則を確立すること が必要だ)。

 シルバーブレットは、シナモンとピューターをかけ合わせたものである。幼体は灰茶色で、小さな暗 色のエリアが見られる。

アイボリー、スーパー・ストライプ、エボニー

 もちろん、イエロー・ベリーはアイボリーのヘテロ接合体であり、リューシスティック変異体の一つ である。しかし、イエロー・ベリーは他のデザイナー変異体を作る時に非常に役に立つことがわかって いる。

 スーパー・ストライプは、黒い背中に幅広の薄い縞が走っている。縞は後頭部から尻尾の先まで、切 れることなくつながっている。スーパー・ストライプはイエロー・ベリーのオスと、薄茶の縞模様のあ るメスを交配して作られた。メスの縞模様はところどころ千切れていて、体色もかなり地味である。

 スーパー・ストライプの縞模様は黄色で、側面上部はオレンジ・ブラウン、側面下部は黄色で、灰と 黒の模様が入り乱れている。イエロー・ベリーの形質が、母親の縞模様の特徴をうまく強調して、理想 的な状態に仕上げたと言えるだろう。

 エボニーは暗色のボールパイソンである。濃い模様の色は黒である。黒い背中には、薄くて細い縞が ある。側面の薄い部分には、黒い斑点が多くついている。エボニーはグラナイトとイエロー・ベリーを 交配したものである。この場合も、イエロー・ベリーの影響がグラナイトの特徴をうまく強調してくれ たようだ。

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