Hebidas ヘビダス  ボールパイソン大百科

P250  健康なボールパイソン

 本書には、完全な健康状態にあるボールパイソンの写真が多数収録されており、本書の各所でも健康なボールパイソンの外見や行動について説明してある。以下に挙げるのは、必ずというわけではないが、ボールパイソンを獣医のところへ診せにいく必要がある場合の症状である。

 ヘビが口で呼吸している。あなたが手で触ると、口を閉じているかもしれないが、ケージのなかに戻すと、再び大きく口を開ける。

 ヘビののどが膨らんでいる。のどの皮膚が引き伸ばされていて、うろこの間にすき間がある。

 ヘビが咳をしている、もしくは、くしゃみをしている。濃い黄色の鼻水が流れ出している。

 ヘビの片目(あるいは両目)が腫れている、もしくは、曇っている。

 ヘビが不自然に舌を出し入れする。首の動き方がおかしい。頭をかたむけて、鼻先を上に向けて、首がほとんど90度の角度に曲がっている(この状態は、スターゲイジングと呼ばれている)。

 糞に血が混じっている、もしくは、ひどい悪臭がする。ヘビが下痢をしている。さらにひどいのは、血の混じった下痢をしている。

 口のなかに腫れ物ができて、口の片方が開いてしまっている。

 排泄腔のまわりに、かさぶた、あるいは乾燥した糞がこびりついている。

 ヘビが餌を飲み込むことができず、何度も吐き戻してしまう。

 ボールパイソンがひっくり返り、体がねじまがり、動かず、反応がなく、体が膨れ、悪臭がしている。おっと、これは手遅れだ。このヘビはすでに死んでいる。こうなる前に、獣医のところに連れて行こう。

 以上は、病気のヘビ、あるいは肉体的に問題のあるヘビに見られるであろう症状のリストの一部である。もし我々自身がこうした症状をひきおこしたとしたら、すぐに医者の診察を受けに行くことは間違いないだろう。ヘビを獣医のところに連れて行くかどうかを決めるのも、判断する基準はそれと同じである。

 ヘビに問題がおきた場合でも、単純な応急処置で簡単に治ってしまうこともある。こうした場合には、わざわざ獣医の診察を受ける必要はない。鼻先がこすれて赤くなっている場合なら、擦り切れた箇所に抗生物質の軟膏を少し塗っておけばよく、深夜に獣医のもとに駆け込む必要はない。しかし、通常、鼻先が擦り切れているのは、より大きな飼育上の問題を示す症状であり、そうした問題を特定して改善しなければならない。さもないと、鼻先が擦り切れるだけではなく、今後さらに多くの症状が出てくることになるだろう。飼い主は以下のような点を考慮しなければならない。ヘビがケージに鼻先を押しつけているのは、ケージが小さくなったからだろうか? ヘビが鼻先をこすりつけるのは、ケージのなかが熱すぎるせいだろうか? お腹が空いているのか? ヘビが常に動き回っているのは、性的に成熟して交尾相手を見つけようとしているのだろうか? 新しいケージから脱走しようとしているのだろうか? 飼い主は身体的な徴候(たとえば、擦り切れた鼻先)を見て、より大きな問題が発生していることを認識し、その問題を特定し改善することができるようにならなければならない。

 多くの場合、健康問題を直接あるいは間接に発生させているのは、飼育管理上の問題である。健康で幸福なボールパイソンは、めったに病気にはならない。健康で幸福なボールパイソンが(たとえば)呼吸器感染をひきおこしたとしたら、その原因は普通
 1:そのヘビが後天的な抵抗力を持っていない病原体に感染した
 2:飼育環境のどこかに問題がある
のどちらかである。言いかえると、いくらあなたが健康で幸福なボールパイソンだと考えていようと、実際にはケージが熱すぎる、寒すぎる、小さすぎる、湿度が多すぎる、汚れすぎているといったように、ヘビの生活のなかの何かが正しくないのだ。

 病気の多くは、安全性の問題から生まれるものである。あなたの飼育管理能力が不十分なために、あなた自身がヘビに病原体をもたらした可能性もある。ヘビに健康問題がおきた時には必ず、飼い主は一歩下がって、ヘビの生活環境をよく調べてみることが必要である。

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